コラム

応援するシニアとスポーツ観戦マーケット

2026.02.09
シニアマーケティング

暦の上では立春を迎え、厳しい寒さの中にも春の気配が感じられる季節となりました。新しい芽吹きとともに、いよいよ本格的に幕を開ける「スポーツ黄金イヤー」2026年の到来です。2月の冬季オリンピック、3月の野球国際大会、6月のサッカー国際大会、さらに日本開催の国際総合競技大会と、世界規模のスポーツイベントが連続します。 こうした年は、スポーツファンにとって特別であると同時に、マーケティングの視点から見ると「シニア層の行動変化」が最も顕在化しやすいタイミングでもあります。実はスポーツ観戦は、シニアの健康、交流、消費、そして生きがいを同時に満たす、極めて価値の高いテーマなのです。本稿では、シニア層とスポーツ観戦の関係性を、マーケットの観点から紐解いていきます。

1. シニアにスポーツ観戦が支持される理由

観戦行動の実態 現在、シニア層の約9割が何らかの形でスポーツ観戦を楽しんでいると言われています。その多くはテレビ観戦ですが、約3割は年に1回以上、スタジアムやアリーナに足を運ぶ経験を持っています。年間の観戦関連支出は平均で約3万円前後とされ、交通費、飲食、グッズ購入を含めると、決して小さくない市場規模を形成しています。 重要なのは、これが「一過性の娯楽」ではなく、継続的な行動として定着している点です。定期的な観戦習慣は、生活リズムの中に組み込まれ、消費行動とも自然に結びついています。 応援で得る「役割感」 シニアにとって「応援する」という行為は、単なる視聴を超えた意味を持ちます。好きなチームや選手を気にかけ、勝敗に一喜一憂することは、「自分も社会や時代とつながっている」という実感につながります。 退職後、社会的役割を失いやすいシニアにとって、この“見守る”“支える”という感覚は、自己肯定感を支える重要な要素です。応援は、誰にでも平等に与えられた役割であり、年齢に関係なく参加できる社会活動でもあるのです。

2. スポーツ観戦がもたらす3つのベネフィット

「感動」がもたらす脳的ベネフィット 試合展開を予測し、選手の動きに集中し、結果に感情が動く。この一連の体験は、脳にとって非常に良い刺激となります。特にシニア期においては、感情の起伏や集中力を伴う体験が、認知機能の維持に寄与すると考えられています。 勝敗に心を動かされる時間は、日常の単調さを打ち破り、脳を活性化させる「心の運動」とも言えるでしょう。 「幸福度」を高める心理的ベネフィット 現地観戦を行うシニアは、テレビ観戦中心の層と比べて、主観的幸福度が高い傾向にあります。スタジアムの一体感、周囲と喜びを共有する瞬間、非日常空間への没入感は、強いポジティブ感情を生み出します。 また、応援対象があること自体が「楽しみな予定」を生活に生み出し、日常への期待感を高める効果もあります。 「フレイル予防」に効く身体的ベネフィット 会場での観戦は、移動、歩行、階段の上り下りなど、自然な身体活動を伴います。「運動しよう」と意識しなくても、「応援したいから出かける」という動機が、結果的に活動量を増やします。 この“目的が先にある外出”は、フレイル予防の観点から非常に有効であり、無理なく身体機能を維持するきっかけとなります。

3. 2026年スポーツイヤーとシニア消費の動き

「応援」が行動と消費を動かす 国際大会の開催年は、応援グッズや関連商品の需要が一気に高まります。シニア層では、自分用だけでなく、家族や孫と一緒に楽しむためのまとめ買いも増えます。 また、試合をより良い環境で楽しむために、大型テレビや音響機器、双眼鏡、クッションなど、観戦体験を快適にする高単価商品への関心も高まります。 「お祝い」と「縁起」を捉えた関連消費 勝利や記念日は、「少し贅沢をしても良い理由」になります。デパ地下の惣菜、高級和菓子、祝い酒など、非日常感を演出する商品は、シニア層の購買意欲と相性が良い分野です。 応援を“祝う体験”として提案することで、消費は単なる物販から、思い出づくりへと昇華します。

4. 孤立を防ぐ「スポーツ×交流」の可能性

シニアのためのサードプレイス 地域施設や飲食店でのパブリックビューイングは、シニアにとって新たな居場所となります。スポーツという共通の話題があることで、初対面でも自然に会話が生まれ、心理的ハードルが下がります。 これは、社会的孤立を防ぐ「心のインフラ」としての役割を果たします。 多世代交流による社会との接点維持 スポーツは世代を超えて共有できる数少ないテーマです。孫や若い世代と同じ試合を語り合う時間は、シニアにとって大きな喜びとなります。 多世代参加型の観戦イベントやツアーは、物販を超えた体験価値を生み、長期的なブランド接点を構築します。

5. まとめ

 

スポーツ観戦は、単なる娯楽消費ではありません。健康、交流、生きがいを同時に満たす、人生の質を高める体験です。シニアマーケティングにおいて重要なのは、この体験価値をどのように日常行動へと結びつけるかという視点です。 2026年という特別なスポーツイヤーを契機に、応援する時間そのものを「暮らしの楽しみ」として再定義し、シニアの日常に寄り添う提案が、これからの市場を大きく動かしていくでしょう。

応援するシニアとスポーツ観戦マーケットQ&A

 

Q1. なぜ今、シニアとスポーツ観戦が注目されているのですか?

A. 2026年は国際大会が集中する「スポーツ黄金イヤー」であり、シニア層の行動変化と消費が最も活性化しやすい年です。スポーツ観戦は、健康・交流・生きがい・消費を同時に満たすテーマとして注目されています。

Q2. シニアはどの程度スポーツ観戦を楽しんでいるのでしょうか?

A. シニア層の約9割が何らかの形でスポーツ観戦をしており、約3割は年1回以上、スタジアムやアリーナでの現地観戦を経験しています。観戦は一過性ではなく、生活習慣として定着しています。

Q3. 「応援する」ことはシニアにどんな価値をもたらしますか?

A. 応援は「社会とつながっている」「誰かを支えている」という役割感を生み、自己肯定感を支えます。退職後に役割を失いやすいシニアにとって、応援は年齢を問わず参加できる社会活動です。

Q4. スポーツ観戦は健康や幸福感に影響しますか?

A. はい。感動や集中による脳の活性化、楽しみな予定が生む幸福感、現地観戦による自然な身体活動は、認知機能維持やフレイル予防に寄与すると考えられています。

Q5. 2026年に向けて、企業や地域は何を意識すべきでしょうか?

A. モノを売るのではなく、「応援する時間そのもの」を暮らしの楽しみとして提案することです。観戦体験を軸に、交流やお祝い、家族との時間につながる場づくりが市場拡大の鍵となります。

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この記事を書いた人

神開 隆一(じんがい たかかず)

有限会社ティー・エム・シー代表取締役。2002年の創業以来、20年以上にわたりシニアマーケティング領域で100社以上の通販企業を支援。紙媒体の信頼性と継続性を活かし、デジタル施策と融合させた広告戦略を構築する実践派マーケター。

著書:『紙から始めるシニアマーケティング』
企業プロフィール:神開 隆一(公式)
X:@t_jingai

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