コラム
コミュニティという付加価値
- 2020.12.01
- シニアマーケティング
新型コロナウィルス感染拡大の影響で人との接点や関わりが難しい今、オンラインコミュニティの活用が増えていますね。あらゆる方面で広がっている「コミュニティ」というキーワード。この激動の時代に、つながることの価値ついて考えてみましょう。
■新しい形のコミュニティへ
新型コロナウイルスの影響を受けて、人と人の関わり方やコミュニティの在り方が大きく変わっていると感じている人は多くいるようです。人と人とが活かしあう関係性づくりを考える上で「コミュニティ」はとても重要なテーマです。 今、コミュニティに求められているものは何か?それを、考え、いかに提供するかが鍵となります。これまでは、地域密着とか顔と顔を合わせることが大事だということが強調されてきましたが、これからの時代のコミュニティは実際に活動しているエリアの距離感より、心の距離感が重視されています。人とのつながり、情報交換だけではなく、社会活動や経済活動を生み出す場としての「コミュニティ」のあり方が必要になってきそうです。
■シニア×コミュニティとは?
これまで「コミュニティ」と言えば、シニア層の増加に伴い、地域コミュニティが注目を浴び、しきりにその重要性が指摘されていました。実際に地域に溶け込み、そこで役割を得て活動しているシニアもいます。しかし、現実には、地域コミュニティも、都市を中心として、その関係性が希薄になっていることも事実ではないでしょうか。 今後は、従来の地域コミュニティにこだわらない、新しい形のコミュニティを、いかに 実現させていくことが重要になってきそうです。その「コミュニティ」でのポイントは、日々、人との交流や触れ合いを楽しみ、自分の社会における存在価値を感じることができること。そうしたコミュニティは、単に歳を重ねた「年齢」で括るのではなく、志や目的意識で集うものであること。年齢を「肩書き」でなく「経験値」に置き換えられるような、そんな機会や場の提供が大切です。結果的に、シニアのコミュニティを活性化していくことで、シニアの孤独問題の解決へ取り組むことにもなります。
■コミュニティ・マーケティング
コミュニティ・マーケティングとは、SNS上などのオンラインコミュニティやユーザー会、イベントといったオフラインの場まで、コミュニティを通して自社の製品・サービスをプロモーションするマーケティング手法のことです。いわゆる、見込客と顧客が自然に会話している中にユーザーを引き込む戦略ということです。今では、SNSなどを通じて「ファンから一般消費者へ」という流れで商品・サービスが勧められ、これが購買につながるという流れが主流にもなっています。 その目的は、大きく3つあります。
(1)ユーザーのリアルな声を集める
(2)ロイヤリティを向上させる
(3)顧客サポートのコスト低減や効率化
コミュニティ上ではユーザー同士やユーザー・見込客間で疑問を解消してくれる、疑似的なカスタマーサポート機能がはたらきます。より良い商品・サービス作りに役立て、信頼関係の醸成も期待でき、ファンを増やすことにつながります。
■付加価値を提供する
コミュニティはマーケティングの施策として大きな意味を持ちます。例えば、最近では、単なるステータスの象徴ではなく、「いいコミュニティ」を求めてマンションを購入する人が増えているそうです。また、仲間づくり、コミュニティづくりを基盤として、ビジネスを作り上げている企業もあります。 同じ興味や想いを抱いた人同士が、それぞれテーマや交流を深めていく、いわば「顧客の自己創造」の支援自体が、事業コンセプトとなります。そのコーディネートをし、会報誌の作成、講座、交流会・イベントなども開催するのです。そうした一連のサポートを通じて、顧客のロイヤリティを高め、結果として顧客のマインドシェアをより強化することに成功している事例です。また、顧客が主体的に参加することで、「生きがい」という新たな喜びを手にし、結果として、さらにブランドに対するロイヤリティを高めていくことに繋がります。 シニアの特徴として、人との繋がりを中心とした出費を行う傾向があります。コミュニティ、人とのネットワークが、消費においても大きな最終ベネフィトになっているのです。単にそのサービス、または商品を購入するだけでなく、その最終目的に人との繋がりを求める傾向があるとも言えます。またコミュニティを持つことで、消費が活性化する面もあります。例えば、コミュニティ内の口コミは、当然のことながら購買に大きな決定力を持ちます。コミュニティは、それ自体が付加価値になると同時に、そのコミュニティ内での消費を活性化する活性剤の役割も果たす作用があるのです。
■まとめ
セカンドライフを楽しむアクティブシニアが増え、そのために必要な「健康・お金・趣味・学び・体験」などを通じ、リアルでも、デジタルでも、交流を楽しみながら生活しています。これから、シニア向けのSNS利用も、より活発になっていくことでしょう。 シニア層へのアプローチに「コミュニティという付加価値を提供する」という視点で活用を考えてみてはいかがでしょうか。