コラム

世代「交代」ではなく「融合」の相乗効果

2023.02.10
シニアマーケティング

将棋の世界でも若き天才とレジェンドによる世代を超えた「夢の対戦」として話題になっていますね。藤井聡太王将と羽生善治九段の両者一歩も引かぬ展開が面白くさせています。世の中には「今どきの若いもんは!」という言葉を耳にしたことがある人は大勢いるはずです。今は、言う側に回っていまっているというシニア世代が若い時にも、散々言われた人もいるかも知れません。今日は、いつの時代にも存在する「世代間ギャップ」をテーマに、シニアマーケティングの面白さをお伝えします。

老舗ミシンメーカーの戦略

 

創業75年目のミシンメーカーの株式会社アックスヤマザキ3代目社長の山﨑一史氏 がニュース番組で取り上げられていました。業績不振下での事業承継でありながらも、自らの知恵と工夫によって危機を脱却し、コロナ禍においてもヒット商品を次々と生み出す製品開発企業へと生まれ変わった経営改革です。若手社長の心を動くきっかけは、弱音を吐くことがない強気だった父から業績悪化を告げられたことだったそうです。注目したいのは大ヒットの裏側にある、若手社長の絶妙なマーケティング戦略です。子育て世代向けの「子育てにちょうどいいミシン」や、シニア向けの「孫につくる、わたしにやさしいミシン」、男性向けの「TOKYO OTOKOミシン」を発売しています。基本的なミシンの構造は変えず、使う人のシーンに合わせ、かゆいところに手が届く工夫で使う人のハードルを下げたそうです。例えば、細かい作業が苦痛になるシニア層には、針穴が大きく見える特殊な鏡を付け、手先を動かすことが脳トレにもなる、専門家の監修の作品集を付属しています。そうした結果が、実際に消費者の声である「面倒、難しい、邪魔」といわれたミシンの印象を、「手軽、簡単、しまわない」という真逆のヒット商品に変えています。

「不」を解消するとお金を払う

 

人にはアンテナがあり、人は「不」を解消するとお金を払う生き物です。例えば、不満・不安・不快・不都合・不思議など、「不」から「お客様は何を求めているのか?」考えてみると何かヒントやアイディアが生まれるかも知れません。相手の困りごとに目を向け、自分や自社の存在意義を見出し、どんな後押しが出来るのか?自分がお客様になったつもりで、消費者側の目線に立ってみると、良し悪しがわかってきます。老舗メーカーの若手社長のように、“売れる”ものを作り出す第一歩になります。時代が違えば、考え方も経験してきたことも全く違ってきます。自分の考え方も時代に沿って柔軟に対応していきたいですね。 ■売れる形態にして商品化する コロナ禍の影響もあり、来店数が減少したなどの策として、オンライン通販なんかを始めるお店も多くなりました。しかし、「何を売ればいいのかわからない。」そんなお声もよく聞きます。では、何を売ればいいのか?結論から言うと、「作り出す」しかありません!得意とする技術や商品をアレンジして“売れる”形態にして商品化するのです。「何が商品になるだろう?」「一番売れているメニューは何だろう?」「お客様が試したいと思う商品・ジャンルは何だろう?」「自社PRにもなるメニューは何だろう?」こんなところを考えていくと、売れる商品が見えてきます。

ベテランと若手の融合とは?

 

去年、W杯2022サムライブルーを率いた森保監督は「世代交代ではなく、世代融合」と言うような内容を口にして、ベテラン切りではなく、下からの引き上げに主眼があることを話していました。その戦略は、ベテランの良い動きと若手のゴールで最高のプレイに感動シーンに多くの人が元気をもらいましたよね。ベテランの知識、技術と、若手のパワー、フレッシュさ全てが融合すれば最強チームを作り出すことができることを伝える試合でもありました。いつの時代にも世代間のギャップは存在しています。世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)とは、「世代間に生じる知識・関心・考え方などの違い」です。大切なことは、ギャップを埋めるのではなく受け入れることです。例えば、自分の価値観のみを押しつけずに、「今は、こんなやり方があるのか!」と考えると視野も広くなります。もちろん、若手も「昔は、こんな風にやっていたのか!」と考えてみることも大事です。世代によって大切にしている価値観は違います。まずは、思いやりの心を持つことが必要ではないでしょうか。相手の価値観を理解して、受け入れる心があれば人間関係はうまくいき、チームの業績も上がります。部下の価値観を知ることがリーダーシップの第一歩だと森保監督からも学びます。

まとめ

 

新時代の自己成長と人材育成には、ベテランと若手という2つの世代が混在しています。何かと変化のスピードが早い時代です。いかに顧客に向き合うかという視点は、常に意識する必要があります。また、副業解禁によって複数の職業をもつ人も増え、誰にとっても「売れる」スキルの重要度は増しているのです。もはや「マーケティングなんて、自分には関係ない」と言える時代ではなくなっています。シニア市場のビジネスを「もっと詳しく知りたい!」 という方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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