コラム
「おひとりさま」と感染対策「黙活」
- 2021.01.29
- シニアマーケティング
大きな時代の変化から2021年となり、未だ、新型コロナウイルスは収束することなく広がり続けています。緊張感でストレスが高まる中、いかがお過ごしですか?多くの人が、ひとりで過ごす時間が増えたと感じているのではないでしょうか。そんな世の中を生きる上で、「おひとりさま」というテーマについて考えてみることにします。
孤立でない「おひとりさま」
あなたは「おひとりさま」という言葉にどんなイメージを抱きますか?例えば、「孤独や寂しさ」のような孤立したネガティブな印象もありますよね。ひとりで食事や、ひとりで遊んでいる時に、「あの人、ひとりで可哀想...」なんて、他人から思われないか?人目を気にしてしまう心境になる人もいるかも知れません。一方で、ポジティブな印象からは、自立し、自分という核を持っている凛とした大人を連想させます。どうやら今は、「おひとりさま」のネガティブイメージを払拭する時代になりました。なぜなら、コロナ禍も拍車をかけるかのように、ひとりで過ごす方が安心で安全だからです。より上質な暮らしを追求する「おひとりさま」を満喫する時間の過ごし方に価値が高まってきました。最近は、多くの年代で独身の単身者が増加傾向にあり、生涯独身で過ごす人や一人暮らしの人が増え、身寄りのないシニア世代も少なくありません。その影響もあり、「おひとりさま」という言葉をよく耳にするようになったと思いませんか?しかし、結婚をしていて家族がいたとしても、自分自身が自立しており、なおかつ自分一人の時間を大切にして楽しむことができる人へも「おひとりさま」として使われています。こうして考えてみると、様々な解釈で幅広い意味で使われる「おひとりさま」というのが言葉の実情です。
おひとりさまシニアを気楽に
人生100年時代と言われ、長い目で見れば、誰しも可能性のあるシニア世代の「おひとりさま暮らし」です。コロナ禍で3密を避け、人と人との間に物理的な距離が求められ、直接人と対面するコミュニケーション機会が減り、退屈に感じている人も多くいますよね。もちろん誰かがいるから得られる楽しさ、喜びがあります。それが実現しにくい環境で、少し視点を変えてみると、一人だからこそ探れるコアな部分、存分に発揮できるこだわり、贅沢な時間もあります。何より、一人を満喫する魅力は、周りへの気遣いは無用!自分の好きなものを食べて、好きな場所へ行き、好きな時間を使って、心ゆくまで自分を過ごす自由な開放感ですよね。環境が変わっても、堂々と、その時間を楽しめる自分でいたい。何かと制限がかかる不安定な状況において、一人だからできる、有意義な「おひとりさま」の過ごし方には、心身を整える健康にもつながります。おひとりさまシニアの気楽な生活を楽しむことを実現するビジネスは、明るい未来を創りのカギとも言えます。
「おひとりさま」市場に注目
さまざまな分野で「おひとりさま」ニーズが見込まれ、「個人」に焦点を当てたマーケティングの展開が増えています。例えば、おひとりさまご飯、ひとり飲み、ひとり旅は、関連サービスの普及と共に、一人の時間を楽しむおひとりさまの間で人気となっています。その他にも、『ひとり〇〇』『ソロ〇〇』『一人専用〇〇』など、ひとり向けにアピールされた内容が多くあります。新しい分野では、今や、すっかり定着したリモートワーク!そこに着目し、カラオケ店舗やネットカフェ店舗が、テレワーク用にリニューアルされ、ひとりでも個室OK!会議にも参加でき、ひとりで黙々と作業効率を上げるソロの働き方改革に一役買っています。ひとり自宅作業とは違い、いい気分転換になるのも利点です。既に、「活用しているよ!」と言う方もいるでしょうか。時代に合わせた、新たなサービスの形ですね。さらに、今後は、個々にカスタマイズしたサービス、また自分自身について学ぶ新たな手段を提供するサービスや、一人の時間を楽しむためのスペースの提供が進む可能性もありそうです。
感染対策の「黙活」
コロナ禍の影響により、飲食業界は大きな打撃を受けていることが、テレビでも報道される日々でもあります。先日、生き残りに懸ける、「おひとりさま」優先など知恵を絞る飲食店の様子が取り上げられていました。その他に、話題になっているのが福岡県のカレー店がSNSに投稿し、作ったPOPは「ご自由にどうぞ」とデータも共有されたことをきっかけに始まった「黙って食べる」=「黙食(もくしょく)」。この言葉を、あなたはご存知でしたか?飲食店での感染対策として注目されています。同じような取り組みが、温泉施設の“黙浴”やスポーツジムの“黙筋トレ”、バスに乗った際に会話を控える“黙乗”、喫煙所で黙ってタバコを吸う“黙煙”です。このような感染対策の「黙活」は様々な業界に広がりを見せているようです。新型コロナへの新たな取り組みとして、今後定着するかもしれません。
まとめ
「群れ」から「個」へと意識がシフトしつつある現代において、「おひとりさま」は可能性を秘めています。ビジネス展開において、明るく前向きなイメージで「おひとりさま」を意識した工夫とアプローチも検討してみてはいかがでしょうか。