コラム
父の日ギフト市場に学ぶ、シニア顧客との関係づくり

- 2026.05.26
- シニアマーケティング
母の日が終わると、次にやってくる大きなギフトイベントが父の日です。2026年の父の日は6月21日。通販企業にとって、父の日は販促機会の一つであると同時に、消費者心理やシニアマーケティングを考えるうえでも参考になる市場です。
父の日専門情報サイト「父の日.jp」の2026年調査によると、父の日に贈りたいものの上位は「食品・グルメ」が30.6%、「お酒・ビール」が27.8%でした。実用性が高く、相手に喜ばれやすい商品が選ばれていることがわかります。
一方で、その背景にあるのは単なるモノの消費ではありません。「日頃の感謝を伝えたい」「喜んでもらいたい」という気持ちが、ギフト需要を支えています。
シニア市場で選ばれ続けるためにも、商品の魅力だけでなく、顧客との良好な関係を築くことが欠かせません。今回は父の日ギフト市場を切り口に、通販企業が取り組みたい顧客との関係づくりについて考えてみます。
1. 父の日市場から見える消費者心理

実用性が支持される理由
父の日ギフトでは、食品やお酒など実用性の高い商品が人気を集めています。物価上昇が続く中でも、「せっかく贈るなら喜んでもらえるものを選びたい」という気持ちは変わりません。
また、近年では健康グッズや生活雑貨など、日常生活に役立つ商品も選ばれています。そこには、父親の健康や暮らしを気遣う消費者心理が表れています。
つまり、父の日ギフトで重視されているのは、価格や見た目だけではありません。相手の生活に寄り添い、実際に役立つものを贈りたいという思いやりが、商品選びの背景にあります。
気持ちを形にするギフト需要
父の日は、単なるプレゼントイベントではありません。普段は照れくさくて言葉にしにくい感謝や労いの気持ちを、商品を通じて伝える機会でもあります。
消費者が求めているのは、商品そのものだけではなく、それをきっかけに生まれる会話や交流、思い出づくりなのかもしれません。
たとえば、好物のグルメを贈ることで家族の会話が生まれる。健康を気遣う商品を贈ることで、「元気でいてね」という気持ちが伝わる。ギフトには、モノ以上の価値があります。
シニア市場にも通じる価値観
この考え方は、シニア向け通販市場にも共通しています。
シニア顧客は、商品スペックや価格だけで購入を決めるわけではありません。「この企業は自分のことを理解してくれている」「安心して利用できる」「困ったときに相談できそうだ」と感じられるかどうかが、購買行動に大きく影響します。
つまり、選ばれ続けるためには、商品価値に加えて信頼感や安心感を届けることが重要です。父の日ギフト市場に見られる“相手を思う気持ち”は、シニアマーケティングにおいても欠かせない視点といえるでしょう。
2. 拡大するシニア市場と競争環境

国内最大級の消費市場へ成長
総務省の統計によると、日本の65歳以上人口は3,600万人を超え、総人口の約29%を占めています。さらに2030年には、3人に1人が65歳以上になると見込まれています。
高齢化が進む日本において、シニア市場は今後も重要性を増していく市場です。健康食品、化粧品、生活雑貨、衣料品、介護関連商品、趣味商品など、幅広いジャンルでシニア層の需要が高まっています。
通販企業にとっても、シニア顧客との関係づくりは、売上や継続率を左右する重要なテーマになっています。
価格競争だけでは差別化できない
一方で、シニア市場の成長に伴い、参入する企業も増えています。その結果、「価格が安い」「機能が優れている」だけでは、選ばれ続けることが難しくなっています。
商品力はもちろん重要ですが、似たような商品が増える中では、それだけで差別化することは簡単ではありません。
だからこそ、企業としての姿勢や想い、顧客への寄り添い方が重要になります。「なぜこの商品を届けたいのか」「どのような悩みに応えたいのか」「購入後もどのように支えていくのか」といった、自社ならではの価値を伝えることが求められています。
3. 通販企業が実践したい関係づくり

継続率の高い企業に共通すること
継続率の高い通販企業は、購入前から購入後まで顧客との接点を大切にしています。
問い合わせ対応や注文時の案内はもちろん、購入後のフォロー、会報誌、DM、メールマガジン、電話対応などを通じて、継続的にコミュニケーションを取っています。
特にシニア顧客にとっては、「困ったときに相談できる」「定期的に情報が届く」「企業の顔が見える」といった安心感が、継続利用につながりやすくなります。
一度購入してもらって終わりではなく、その後も関係を育てていくことが、再購入や定期継続につながるのです。
ストーリーで共感を生む
商品の特徴や価格だけでは差別化が難しい時代だからこそ、企業の想いや利用者の体験談が価値を持ちます。
たとえば、開発者が商品に込めた想い、利用者が感じた変化、家族からの声、生産者のこだわりなどは、商品に対する理解や共感を深める要素になります。
AIやインターネットによって情報があふれる今だからこそ、実際の体験や人の想いには強い力があります。単なる説明ではなく、物語として伝えることで、顧客は企業に親しみを感じやすくなります。
ストーリーは、企業らしさを伝える重要な資産です。
家族との接点を広げる
父の日のような家族行事は、新たな顧客接点を生み出す機会でもあります。
シニア市場では、本人だけでなく、家族が購入を後押しするケースも少なくありません。たとえば、子ども世代が親の健康を気遣って商品を探したり、家族が定期購入を申し込んだりすることもあります。
そのため、シニア本人だけでなく、家族に向けた情報発信も重要です。
「親に贈りたい商品」「離れて暮らす家族を支える商品」「健康を気遣うギフト」といった切り口で発信することで、新規顧客との接点を広げることができます。
4. 父の日から学ぶ継続率向上のヒント

購入後の接点づくり
通販事業において重要なのは、初回購入だけではありません。購入後も顧客との関係を継続することで、再購入や定期継続につながります。
たとえば、季節の挨拶を添えたDMや、商品に関連するお役立ち情報を掲載した会報誌は、顧客との接点づくりに役立ちます。
「売り込み」だけではなく、「役に立つ」「読んで楽しい」「企業の想いが伝わる」内容にすることで、顧客との距離は縮まりやすくなります。
父の日ギフトでも、商品を贈った後に会話や交流が生まれるように、通販でも購入後のコミュニケーションが関係づくりのきっかけになります。
ファン化を促すコミュニケーション
顧客との接触回数が増えるほど、企業への親近感は高まりやすくなります。ただし、一方的な販促ばかりでは逆効果になる場合もあります。
大切なのは、顧客に寄り添ったコミュニケーションを続けることです。
DM、会報誌、メールマガジン、電話フォローなどを組み合わせながら、顧客の悩みや関心に合った情報を届けることが、信頼関係の構築につながります。
特にシニア顧客に対しては、わかりやすい表現、読みやすい文字サイズ、安心感のある案内、丁寧なサポートが重要です。細やかな配慮の積み重ねが、企業への信頼を高め、ファン化につながります。
口コミ・紹介につなげる仕組み
満足度の高い顧客は、家族や友人へ商品を紹介してくれる可能性があります。
特にシニア市場では、口コミの影響力が大きいと考えられます。信頼している人からの紹介は、広告以上に安心感を与えることがあります。
そのため、既存顧客との関係づくりは、継続率向上だけでなく、新規顧客獲得にもつながります。
紹介キャンペーンや家族向けの案内、同封チラシ、会報誌での体験談紹介などを活用することで、自然な口コミや紹介を促すことができます。
5. まとめ
父の日ギフト市場では、食品やお酒など実用性の高い商品が選ばれる一方で、その背景には「相手に喜んでもらいたい」「感謝を伝えたい」という気持ちがあります。
この価値観は、シニア向け通販市場にも共通しています。
顧客が求めているのは、商品そのものだけではありません。安心感や信頼感、企業との心地よい関係も、購入や継続利用を左右する大切な要素です。
日本では高齢化が進み、シニア市場の重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。だからこそ、価格や機能だけでなく、顧客との接点を大切にしながら、信頼を積み重ねていくことが重要です。
父の日市場から学べるのは、「商品を売る」こと以上に「関係を育てる」ことの価値です。
顧客との関係づくりは、継続率向上やLTV向上を支える大きな力になります。通販企業にとって、今後ますます欠かせない取り組みになるのではないでしょうか。
参考資料
・父の日.jp「2026年度 父の日に関するアンケート調査」
https://chichinohi.jp/fathers-day-survey/
・総務省統計局「高齢者の人口」
https://www.stat.go.jp/
・公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)
https://www.jadma.or.jp/
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