コラム

団塊の世代と2025年問題|人口・資産・介護・市場への影響を徹底分析

2025.09.05
マーケティング百科

目次

団塊の世代の基本情報

団塊の世代の定義と読み方

団塊の世代の呼称の由来

「団塊の世代」という呼称は、作家・堺屋太一の小説『団塊の世代』(1976年)が広めました。戦後間もない日本で出生数が急増し、人口がひとつの塊をなすように膨らんだことから「団塊」と表現されています。戦後復興の担い手となった彼らは、単なる年齢層を超えて「社会現象」として位置づけられています。

団塊の世代の読み方

本文:「団塊の世代」は「だんかいのせだい」と読みます。新聞記事、政策文書、学術論文など幅広い場面で用いられ、社会学や経済学の分野でも一つの固有名詞として定着しています。世代研究においては「baby boomer(ベビーブーマー)」と比較されることも多く、国際的な議論の文脈でも使われています。

生年範囲と現在の年齢(2025年時点)

団塊の世代の出生期間

団塊の世代は1947年から1949年にかけて生まれた人々を指します。この3年間で約800万人が誕生し、日本の人口構造に「膨らみ」を形成しました。当時の出生率は女性一人当たり4人を超え、戦後ベビーブームの象徴となりました。

2025年時点の年齢層

2025年時点では、1947年生まれが78歳、1949年生まれが76歳となり、全員が後期高齢者の直前または該当する年齢に入ります。つまり、医療や介護制度の利用者として社会全体の負担が一気に増す局面に直面することになります。

団塊の世代の人口規模

出生数の規模感

約800万人という規模は、前後の世代と比較して突出しています。例えば1955年前後の出生数は年間約150万人程度で推移しましたが、1947年には約270万人が誕生しています。この急増こそが教育現場や住宅供給、就職戦線に大きな影響を及ぼしました。

社会への影響の大きさ

人口が集中した結果、団塊の世代は「受験戦争」「就職戦線」と呼ばれる激しい競争を経験しました。同時に、消費市場では彼らの購買力が自動車、家電、住宅市場を一気に拡大させ、日本の経済成長を後押ししました。その存在感は教育・雇用・経済のすべてに波及し、まさに「数が社会を動かした世代」といえます。

団塊の世代の
特徴と価値観

就学・就職期の体験が与えた影響

高度経済成長の経験

団塊の世代が青春期を過ごした1950〜70年代は、日本経済が年平均10%近い成長を遂げた時代でした。テレビや自動車の普及、東京オリンピック開催など「豊かさ」を体験したことで、彼らは努力すれば報われるという強い信念を抱きやすくなりました。

受験競争と就職競争

人口規模が突出していたため、進学先や就職先をめぐる競争は極めて激しくなりました。高校進学率の急上昇や大学定員不足は「受験地獄」として社会問題化し、就職活動では大量採用があっても競争倍率が高止まりしました。この体験は、団塊の世代に「集団の中で生き抜く」意識を強く刻み込みました。

消費と働き方の傾向

消費市場の拡大要因

高度成長期からバブル経済期にかけて、団塊の世代は消費の主役を担いました。マイホーム、マイカー、カラーテレビといった「三種の神器」から、海外旅行やブランド品購入まで、消費の幅を広げました。彼らの購買行動はGDPの拡大を支え、日本企業の国際競争力を押し上げました。

会社中心の働き方

就職後は「モーレツ社員」と呼ばれる働き方が一般的で、終身雇用や年功序列が当然とされました。家庭生活よりも仕事を優先し、長時間労働や単身赴任もいとわない姿勢が評価されました。この企業中心の生活観は、日本の高度成長を支えた一方で、現代の働き方改革の出発点ともなっています。

次世代との価値観の差異

所有志向の強さ

団塊の世代にとって「持ち家を持ち、自家用車に乗り、最新家電を揃える」ことが豊かさの象徴でした。対照的に現代の若年層は「シェアリング」「体験価値」を重視し、所有よりも利用に価値を見出す傾向があります。このギャップが世代間の意識差を浮き彫りにしています。

家族観とジェンダー意識

男性が働き、女性が専業主婦として家庭を守るという役割分担が当然とされた時代を生きてきたため、団塊の世代の価値観は伝統的な性別役割に強く影響されています。そのため、共働きやジェンダー平等を前提とする次世代との間に摩擦が生じやすいのです。

団塊の世代と高齢化社会

後期高齢者に到達する時期の整理

75歳到達のタイミング

団塊の世代は2017年から順次75歳を迎え、2025年には全員が後期高齢者に含まれる年齢になります。この「2025年の壁」は医療・介護分野で注目されており、日本社会が一斉に高齢化のピークに突入することを意味します。

医療・介護需要の集中化

団塊の世代は人口規模が突出しているため、同時に高齢化することによる「需要の集中」が避けられません。地域の病床や介護施設の不足、在宅医療へのシフトなど、社会資源の配分が大きな課題となっています。

2025年問題に伴う医療・介護需要の増加

医療費の増大

高齢化に伴い国民医療費は膨張を続けており、2025年には50兆円を超えると予測されています。団塊の世代が後期高齢者に達すると、生活習慣病や認知症、がんなど慢性疾患の医療費が増大し、財政圧迫の要因となります。

介護人材の不足

介護現場では「2025年に約30万人の人材不足」が予測されています。家族介護に依存する時代は終わり、外国人材やデジタル技術(介護ロボット、AI見守りシステム)の導入が不可欠となっています。

平均余命と主要な健康課題

男性と女性の平均余命

2025年時点で日本人の平均余命は男性約81歳、女性約87歳。団塊の世代はちょうどこの平均に近づく世代です。特に女性は長寿傾向が顕著で、「未亡人の高齢女性」が増えることも社会課題として意識されています。

健康寿命との差

平均余命と健康寿命(自立して生活できる年齢)の差は約10年前後。この「不健康期間」に介護や医療が集中し、生活の質(QOL)をどう維持するかが問われています。予防医療やフレイル(虚弱)対策の重要性が一層高まっています。

団塊ジュニア世代との関係

団塊ジュニアの定義と年齢層

団塊ジュニアの出生期間

団塊ジュニアは1971〜1974年に生まれた世代で、団塊の世代の子どもにあたります。約700万人規模と大きく、日本の人口動態に「第二の山」を作りました。

2025年時点の年齢層

2025年には51〜54歳。管理職や中堅層として社会の中核を担っており、親世代である団塊の世代の介護にも直面するタイミングです。

親子世代の人口規模の比較

団塊世代の人口の多さ

約800万人規模の団塊世代は、戦後復興期から経済成長を牽引してきました。その「数の力」は教育・雇用・消費に強い影響を与えました。

団塊ジュニアの規模感

団塊ジュニアも約700万人と規模が大きく、「親子二世代の人口の山」が社会保障や住宅市場、教育制度に二重のインパクトを与えました。

就職環境の違い

団塊世代の就職期

高度経済成長期に就職した団塊の世代は、企業の大量採用に支えられ「売り手市場」の恩恵を受けました。安定した終身雇用により、長期的なキャリア形成が可能でした。

団塊ジュニアの就職氷河

団塊ジュニアの就職期は1990年代の不況期。「就職氷河期」と呼ばれ、非正規雇用や不安定な労働に直面する人が増えました。この違いは生涯賃金や資産形成に大きな差を生んでいます。

教育環境の違い

教育機会の急拡大

団塊世代は大学進学率が急上昇する時代に育ち、「学歴社会」の先駆けとなりました。

教育競争の激化

団塊ジュニアはさらに競争が厳しい時代に置かれ、偏差値教育や受験戦争を強く体験しました。これにより、教育費の高騰や私教育依存も深刻化しました。

家計と資産形成の違い

資産形成の安定性

団塊世代は高度経済成長とバブル景気を背景に、住宅取得や金融資産形成を比較的容易に進めることができました。

不安定な資産形成

団塊ジュニアは低成長・デフレ・就職氷河期が重なり、資産形成が難しくなりました。格差の拡大や老後不安がこの世代に色濃く影を落としています。

今後の展望と
実務的な備え

人口推移から見た世代交代の見通し

団塊世代の高齢化の進展

2030年代には団塊の世代の多くが80歳を超え、介護需要や医療需要がピークに達します。これは人口構造の大きな転換点であり、社会システム全体の見直しが求められます。

世代交代の影響

団塊世代の引退・死亡により、社会の中心は団塊ジュニアやそれ以下の世代に移ります。消費や政治の主役が交代することで、社会の価値観や政策の方向性も変化していきます。

資産と消費のトレンド変化

高齢世代の資産保有

日本の個人金融資産の半分以上を60歳以上が保有し、その多くを団塊の世代が握っています。資産の承継や消費パターンは経済に大きな影響を与えます。

消費スタイルの変化

団塊世代は「モノ消費」から「コト消費」へシフトしつつあります。旅行、健康、趣味、教育など自己投資型の支出が増え、若年層より高額消費を行う傾向が強いです。

地域・企業での社会参加の広がり

ボランティア活動への参加

退職後に地域活動やNPOに参加する団塊世代が増えています。地域防災や子育て支援など、社会の担い手として貢献する事例も多く見られます。

企業での再雇用

労働力不足の日本において、経験豊富な団塊世代の再雇用は重要です。専門知識を活かした再雇用や起業、講師活動など、多様な社会参加が広がっています。

介護・住まいの準備プロセス

住み替えの検討

高齢化に備え、段差の少ない住宅やサービス付き高齢者向け住宅への住み替えが現実的な選択肢となります。

介護準備の必要性

将来的な介護を見据えて、家族・地域・行政と連携した準備を整えることが不可欠です。エンディングノートや介護保険制度の活用など、具体的な行動が安心につながります。

まとめ

 

団塊の世代とは、戦後のベビーブーム期に生まれた約800万人の人々を指し、日本社会に数多くの影響を与えてきました。教育現場の混雑から、就職戦線の競争、そして消費市場の拡大まで、その存在は「数の力」で社会制度や経済を大きく動かしてきました。

 

2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者に達し、医療・介護・社会保障の分野で大きな転換点を迎えます。同時に、団塊ジュニア世代との世代間比較からは、就職や資産形成の環境の違いが浮き彫りになり、日本社会の多様な課題と可能性を示しています。

 

これからは、団塊の世代が築いた資産や経験をどう次世代に引き継ぐかが重要なテーマとなります。地域や企業での社会参加、ボランティアや再雇用といった形で活躍する姿も増えており、高齢化を単なる負担ではなく「社会の知恵と力」として活かすことが期待されています。

 

団塊の世代を知ることは、過去を振り返るだけではありません。日本社会が直面する「少子高齢化」「世代交代」「資産移転」といった課題を理解し、未来の暮らしや社会のかたちを考える出発点になるのです。

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この記事を書いた人

神開 隆一(じんがい たかかず)

有限会社ティー・エム・シー代表取締役。2002年の創業以来、20年以上にわたりシニアマーケティング領域で100社以上の通販企業を支援。紙媒体の信頼性と継続性を活かし、デジタル施策と融合させた広告戦略を構築する実践派マーケター。

著書:『紙から始めるシニアマーケティング』
企業プロフィール:神開 隆一(公式)
X:@t_jingai

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